-オーバーホール(Overhaul/分解修理)について-

オーバーホール(以下OHと略します)とは

OHは時計を出来るだけ長く使用していくうえでの必要な定期メンテナンスです。
OHは時計を全て分解して、異常が無いか点検し、清掃、注油、内部部品の磨き上げ等を行い、組み立て直す作業の事を示します。
また、外装の清掃(二つ下に説明があります)も含まれます。
当店では、自動巻きであれ手巻きであれ電池時計でない時計は、5年に一度程度OHをする事を推奨しております。

※追記:オーバーホールとは

当店では(修理料金を低く抑える為にも)出来るだけ部品交換を行わずに修理できるようにと思っております。
診断後の修理見積もりの時点で(錆びている、欠けている等の)著しく劣化している部品については部品交換を含めた料金をお伝えしておりますが、完全にばらし改めて組み立てた時点で、部品磨きと注油では全快してくれない場合もあります。
そのような場合はお客様とご相談の上、改めて修理内容を決定することとなります。

外装清掃について

オーバーホール工程内には風防(プラスティック製の場合に限る)の研磨とブレス及びケースの清掃が含まれます。
風防の研磨は風防に付いた細かい傷を取るもので欠けてしまっている箇所や深い傷は取ることが出来ません。
ブレス及びケースの清掃はケースの磨き上げ(ケース仕上げ)とは異なりますので傷などを取ることは出来ません。
なお、ケース仕上げは外注にて承ることとなりますので、ご了承ください。(日数は二週間程かかります。)

※追記:外装清掃について

2007年3月より外装清掃の際、若干の磨きを行っております。
アンティーク品でそのままの風合いを楽しむ為に外装の清掃を行わない方が宜しい場合にはその旨をお伝え下さい。

メーカー修理との違い

当店とメーカーでのOHに関する違いを示すとすれば、当店では交換せず磨き上げる事でそのまま使用可能と判断する細部部品であっても、メーカーでのOHの場合、簡単に供給可能な事もあり細部部品を交換しているようです。
また、メーカーでは動作確認にかなりの日数をかけてじっくり行っているようですが、当店では順調に動き続けてくれる場合には作業終了後48-72時間程度の動作で確認を終了して返却しております。

なお、当店は責任と長年の経験を持ち、信頼を得るに十分になるよう注意を払い修理を行っております。
「時計を直す」という事では当店は技術も経験も持っておりますし、メーカーで修理不可能といわれた時計を依頼され直すことも多々あります。
しかしメーカーが推奨する正規代理店はより簡単にパーツを入手できたりその機種に関する情報や情報源を持っており、その点では評価できると思いますし、メーカーの期間や料金にも正当かつ妥当な理由があると思います。

※追記1:メーカー修理との違い

メーカーの修理はその機種に関する全てのパーツを在庫していない場合等「自社で完成させる」ことが出来ない可能性があれば引き受けていないようです。
当店の場合はメーカー以外にも材料供給先や昔から付き合いのある協力店やお客様から譲り受けたパーツ取りの時計などを総動員すれば直る可能性があればお引き受けし、出来る限り使用可能な状態を目指そうと考えております。
メーカーの対応も「きちっとしていて良い」と思いますが、当店は昔からのスタイルで頑張ろうと思います。

※追記2:メーカー修理との違い

当店ではネジの大きさによって各種ドライバー(精密ドライバーだけで13種類)を使用しております。
しかし、ネジが固まってしまっている場合にはネジの素材よりもドライバーの素材の方が固いドライバーで回しておりますので、ネジ抜きの際にねじ山が若干傷付く場合もあります。
この際、メーカーであれば、取り付け時に新品のネジと交換し取り付けを行うと思いますが、当店ではその後の修理(締め付け等のその後のネジ込み)や動作に支障がある場合であれば交換を行いますが、そうでなければ交換せずに使用します。

調整について

OH時の調整は精度計での測定の後@自動巻きの場合はワインディングマシーンに乗せた状態でA手巻きの場合は置いた状態で動作確認を行なっております。
しかし、(移送中に具合が悪くなる場合など)お客様の元に届いてから実際に使って頂いた時にどうもうまい具合に調子が出ないということがあります。
その場合はご不便おかけ致しますが、若干多めに日数を頂いたり、お客様より再調整をご依頼頂いております。
そうならないよう注意を払って対応しておりますが、お渡し精度が安定するよう再調整を行いますので根気良くお付き合いください。

アンティーク品について

時計個々の状態によっても異なりますが、アンティーク品(製造後20-30年以上経過している時計など)については非防水での日常使用は可能でも、販売当時の精度を求めてご使用されるのは少々難しいと考えております。

お年を召した時計を愛情持ってご使用されるのであれば修理ご依頼を快くお引き受けしたいと思いますが、継続的にカタログ通りの高い精度を必要とするような使用をご期待される場合は修理をお断りすることがあります。

クロックの修理範囲について

クロックの場合は腕時計と比べますと、メーカーの日本法人や修理も引き受けている輸入代理店の無いものも多く、当店及び当店とつながりのある国内外の材料供給先の範囲ではパーツの供給が非常に限られますし、当店では歯車や地板などのパーツの作成は対応しておりません。(ホゾ穴加工,ブッシュ交換は行います。)
よってオーバーホール(パーツの補正を含めた分解清掃)では全ての機能が改善されない場合もざいます。
改善が見込めない状態にならない為にもゼンマイ式や分銅式のクロックについては腕時計以上にきちんと定期的なメンテナンス(オーバーホール)をされることをお勧め致します。

カスタマイズを施した腕時計の取り扱い及びお持込パーツの取り扱いについて

※バンド調整の為のコマのお持込はもちろん大丈夫です。

当店ではパーツ交換をする場合正規ルートから仕入れ、純正のパーツを使用しております。 (製造終了しており社外品しかない場合はお客様と相談致します。) そしてそのルートでは(現行品であっても)カスタマイズ目的でのパーツの仕入は出来ません。
2005年まではカスタマイズを施した時計の修理及びオーバーホールもお引き受けしておりましたし、 お持込でのパーツの取り付けも行っておりました。
しかし、どのような簡単な作業であれ、作業中の「もしも」の危険性はいつでもあると思いますし、「もしも」の時にお客様の一所懸命探された(幸運にも手に入れられた) パーツについて責任を持つことが出来ない状態でお客様の大切な時計をお引き受けするのは お客様への誠実さを欠く行為ではないかと思いました。
よってカスタマイズを施した腕時計のオーバーホールや修理、また当店で通常のルートから仕入れられないお持込パーツの取り付けはお断りさせて頂きます。 どうぞ宜しくお願い致します。