沛C理ご質問集

- 時計の大敵「多用途活性剤」

ゼンマイ式の箱物(掛け時計/置時計/ハト時計/カッコウ時計)の修理で一番参ってしまうこと。 それは多用途潤滑剤(KURC556など)を噴霧されている場合です。

多用途潤滑剤は非常に便利な製品であることは確かですが、時計に噴霧してはいけません。
注油という言葉が表す通り、時計の油は過不足無いようにポイントで注して(さして)いきます。
箱物の場合、何となく油を吹きかけてしまっても動くような気がしますが、洗浄を行わずに油を追加すれば、その油に汚れが集まり負荷になりますし、必要な部分に油が回らない場合には、その箇所に無理が生じて著しく素材が減ってしまいます。それに、噴霧では明らかに油が多過ぎますし、多用途潤滑剤では時計に油の質が合いません。

私たちの行うオーバーホールではパーツを全て分解し、洗浄しながら減りが無いか確認し、減りが合った場合には負荷にならないよう加工した後、注油しながらくみ上げていきます。
その際、油の種類についても箇所により時計用油でも種類を使い分けていますし、そういった作業により、一部だけ酷く減るような症状は起こりにくくなり、時計の寿命は延びます。

ちなみに、多用途潤滑剤が噴霧してある時計のオーバーホールはほぼ間違いなく通常の3倍以上の手間が掛かりますので、見積もり額も(通常の3倍とは言いませんが)お高くなります。


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